ウィリアム W.アトキンソン

 
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 ウィリアム ウォーカー アトキンソン(William Walker Atkinson. 1862年 - 1932年)はアメリカの弁護士、著者、出版者、オカルティスト、ニューソート運動のパイオニアである。もとは普通の弁護士であったが、仕事のストレスから心身を壊して、経済的にも困窮するようになり、やがて知ったニューソートの実践によって、それらを持ち直す。結果、この教えに感銘を受けたアトキンソンは、自らも広める決意をして、当時ニューソート運動の中心地であったシカゴへと移り、この運動の様々な雑誌を発行し、国際ニューソート同盟(The International New Thought Alliance)の名誉会長ともなり、その中心人物となったのであった。

 アトキンソンは、ヨーギ出版協会(The Yogi Publishing Society)などの幾つもの出版社を立てて、ニューソートやヨーガ、その他のオカルト術について、100冊以上の本を書いている多作の人であったが、自らの本名の他にも、インド人ヨーギ ラマチャラカや、フランス人メスメニストのセロン Q. デュモンなど様々なペンネームを用いていた。最初のラマチャラカについては、当時弁護士をしていたアトキンソンは、自らのオカルト著作の副業を隠したかったからだと推測できるが、そのために何人ものペンネームを使う必要もなく、その動機は不明である。アトキンソンは死ぬまで自分のペンネームについて明かしていないので、これらの出版社の著者らのうちの誰が本当はアトキンソンであったかは、後世の研究者らの推測に頼るしかない。

呼吸の科学

 本書(Science of Breath)はアトキンソンがヨーギ ラマチャラカとして、ヨーガの呼吸法(プラーナーヤーマ)を教授する内容となっている。この本を書くために、アトキンソンは呼吸法についてよく研究しており、今でも読む価値のある内容となっている。著者によると、正しい呼吸の実践によって、肉体の健康のみならず、精神的、霊的な開発もされるという。

呼吸の科学  第1章 サーラム
呼吸の科学 2 第2章 呼吸は命である
呼吸の科学 3 第3章 呼吸の一般的な理論
呼吸の科学 4 第4章 呼吸の秘教的な理論
呼吸の科学 5 第5章 神経系
呼吸の科学 6 第6章 鼻呼吸 vs 口呼吸
呼吸の科学 7 第7章 呼吸の4つの方法
呼吸の科学 8 第8章 ヨーギの完全な呼吸を得る方法
呼吸の科学 9 第9章 完全な呼吸の生理学上の効果
呼吸の科学 10 第10章 ヨーギの伝承からの幾つかの呼吸法
呼吸の科学 11 第11章 ヨーギの7つの開発の実践
呼吸の科学 12 第12章 7つのマイナーなヨーギの呼吸法
呼吸の科学 13 第13章 振動とヨーギのリズミカルな呼吸
呼吸の科学 14 第14章 ヨーギのサイキックの呼吸による超常現象
呼吸の科学 15 第15章 ヨーギのサイキックの呼吸による更なる超常現象
呼吸の科学 16 第16章 ヨーギの霊的な呼吸


キバリオン

 本書(The Kybalion)は、古代エジプトの賢者ヘルメース トリスメギストスの教えを現代に伝えると称する書である。厳密に言うと、他に存在する「キバリオン」の教えの要約書という形式を取っているが、おそらくオリジナルの書は著者の頭の中にしか存在しないだろう。「キバリオン」という題名も、ギリシア語っぽくしてあるものの意味が通じず、おそらくは著者の造語だろう。

 この本の著者「三人の秘儀参入者(The Three Initiates)」の正体は昔から詮索されていて、アトキンソンもその1人(あるいは3人全員)と考えられている。他の候補者のリストの中には、黄金の夜明け団系の魔術師、オカルティストのポール フォスター ケース(Paul Foster Case)の名も含まれている。

 本書ではヘルメースの哲学を7つの原理、精神主義、照応、振動、極性、リズム、因果、性の原理に分けて教えている。昔からオカルト、ヘルメース哲学の初心者に「必読本」としてよく勧められてきた良書である。

キバリオン  序説
キバリオン 1 第1章 ヘルメースの哲学
キバリオン 2 第2章 7つのヘルメースの原理
キバリオン 3 第3章 精神の変容
キバリオン 4 第4章 全者
キバリオン 5 第5章 精神の宇宙
キバリオン 6 第6章 神のパラドックス
キバリオン 7 第7章 万物の中にある「全者」
キバリオン 8 第8章 様々な照応の界
キバリオン 9 第9章 振動の原理
キバリオン 10 第10章 極性の原理
キバリオン 11 第11章 リズムの原理
キバリオン 12 第12章 因果の原理
キバリオン 13 第13章 性の原理
キバリオン 14 第14章 精神界の性の原理
キバリオン 15 第15章 様々なヘルメースの格言


 本書はカルト的な信奉者を多く生み出したのと同時に、厳しい批判も受けている。本書を読んだ読者が更なる研究のために、以下の2つの批判記事も読むのを勧める。
 西洋密儀伝統ジャーナルのNicholas E.Chapelの論文では、キバリオンが古典的ヘルメース哲学とは僅かしか関連せず、ニューソート運動の産物であるのを詳細に論証している。
 また、有名な魔術師のNick Farrellのブログ記事では、7つの原理のそれぞれに反証し、1つでも反証があるので「宇宙の絶対的な法則」とはなり得ないことを示している。

集中力の開発

 本書(The Power of Concentration)は、アトキンソンがフランス人メスメリスト(催眠術師)セロン Q. デュモンとして、集中力の開発とその応用について講義する内容である。望んだ成功への集中はニューソートで最重要視されているが、集中そのものの主題を扱った本は極めて珍しく、本書は読む価値があるものとなっている。
 
集中力の開発  序説
集中力の開発 1 第1講義 集中は道を見い出す
集中力の開発 2 第2講義 自制心。集中の自己制御の力
集中力の開発 3 第3講義 集中を通して、あなたの望むものを得る方法
集中力の開発 4 第4講義 集中、全てのビジネスで結果を生み出す沈黙の力
集中力の開発 5 第5講義 どのように集中した思考が全人類を共に結び付けるか
集中力の開発 6 第6講義 行うことへの意志の訓練
集中力の開発 7 第7講義 集中した精神の要求
集中力の開発 8 第8講義 集中は精神の安定を与える
集中力の開発 9 第9講義 集中は悪習を乗り越えさせる
集中力の開発 10 第10講義 集中を通してのビジネスの結果
集中力の開発 11 第11講義 勇気に対しての集中
集中力の開発 12 第12講義 富に対しての集中
集中力の開発 13 第13講義 あなたは集中できるが、それを望むのか?
集中力の開発 14 第14講義 実践的な訓練の手段による、集中のアート
集中力の開発 15 第15講義 集中によってあなたは忘れなくなる
集中力の開発 16 第16講義 あなたの望みを満たすための集中の方法
集中力の開発 17 第17講義 集中によってアイデアを開発する
集中力の開発 18 第18講義 集中を通じての精神のコントロール
集中力の開発 19 第19講義 集中した意志の開発
集中力の開発 20 第20講義 集中について振り返る

 

  • 最終更新:2022-04-14 15:00:14

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