薔薇十字団の名声

 
友愛団の名声、あるいは薔薇十字の最も称賛に値する友愛団の発見


 近年、唯一のいと高き知恵と慈悲深い神がその豊かな憐れみと善意を人類に与えている中、我々はますますその御子たるイエス キリストと自然についての完全な知識を獲得しており、我々は幸福な時代に生きていると自負するのも正当化されよう。かつては隠されていた世界の半分も見つけられ (*1)、それだけでなく神は自然の生き物や働きについて今まで見た事も無かった驚異的なものを多く明らかにされた。それだけではなく、人類を高め、偉大な知恵を与えられた。それらは(我々の欠点のある不完全な時代の)全ての技芸を完全なものへと新たにし改良するだろう。そして最後には人は自らの高貴さと価値を理解するだろう。なぜ人は小宇宙と呼ばれるかと、どのようにその知識を自然において拡張していくかも理解されよう。

 この粗野な世界はわずかしか喜ばず、むしろ冷やかしの嘲笑いをするかもしれないが、また学者らのプライドと貪欲はあまりにも高く、共に同意する事は出来ないかもしれないが、彼らが一つにまとまったら、我らの神が豊かに与えてくださった物事全てにおいて、自然の書、あるいは全ての技芸の完全な技法を集められよう。だが、それはポルピュリオス、アリストテレス、ガレノスらが立て、彼らがなおも保持し放したくない古い道と対立している (*2)。だがそれらは学習の単なる見世物で、明らかに表された光と真理ではない。もし彼らが今でも生きていたら、喜んで彼らの過ちの多い学説を捨てていただろう。だが、これらはそのような偉大な作業には弱すぎる。そして神学、医学、数学にて、真理はこれらに反しているが、にもかかわらず、古き敵 (*3)はその巧妙さと技巧により、その道具である争い好きな不安定な人々を用いて、自らをあらゆる良き目的の中に隠しつつも表わしている。

 そのため、(世界の)総体的な改革の目的のため、最も神に近く高貴な啓明された父、我らが兄弟C.R.C. (*4)、ドイツ人の我が友愛団の始祖にして総長は長きにわたり働いてきた。5歳にして貧困の理由から(もっとも、貴族の両親から彼は産まれているが)兄弟 C.R.は修道院へ送られ、そこでギリシア語とラテン語を容易に学び、そして(兄弟 C.R.のたっての望みと要求により)育っていく中で兄弟P.A.L.に預けられた。そして兄弟P.A.L.は聖地を巡礼するのを決めていたが、(旅の途中の)キプロス島で死に、エルサレムへはたどり着けなかった。だが我が兄弟 C.Rは帰る事は無く、ダマスカスへと船出し、そこからエルサレムへ徒歩で向かうのを考えていた。だが体の衰弱により、そこで留まり、その医学の技によりトルコ人から寵愛を得た (*5)。その間、兄弟 C.R.はアラビア半島のダムカル (*6)の賢者らの存在を知り、彼らがなした大いなる驚異と、どのように彼らに自然の秘密は発見されたかを聞いた。

 そして兄弟 C.R.の高貴な精神はかくも刺激され、エルサレムはもはやダマスカスほどその心に留まらなかった。そして、兄弟 C.R.は自らの賢者らと会う望みをこれ以上我慢できずに、アラブ人らと取引して、充分な路銀でダムカルへ向けて運んでもらった。

 そこにたどり着いた時、兄弟 C.R.は16歳になっており、強いオランダ人的な体格があった。賢者らは彼を異邦人としてではなく(彼自らが証するに)、長く待ち望んでいた者として迎えた。彼らは兄弟 C.R.を名前で呼び、その修道院生活で教えられなかった他の秘密も授けた。

 兄弟 C.R.はそこでアラビア語を学び、Mの書 (*7)のラテン語への翻訳をした。その後、兄弟 C.R.はこの書を常に持つようにした。ここで兄弟 C.R.は医学と数学を学んだ。それらを人々がより愛し妬まないなら、世界はより喜びに満たされように。

 3年経った後に、兄弟 C.R.は賢者らの良き同意とともに再び旅立ち、船でアラビア湾を通ってエジプトへと向かった。そこでは長くは留まらずに、現地の植物と生き物について学んだのみであった。それから地中海を航海し、アラブ人らが行くように勧めたフェズへと向かった。

 我々の大いに恥ずべき事は、(ヨーロッパの)学者らはそれぞれ離れていて、一つの意見に同意せず、全ての議論的な書物を憎んでいるのみならず、秘密の名の下に他へ彼らの秘密を分け与えるよう望む。一方でアラブ人やアフリカ人らはより良い物を見つけたり、実験から彼らの考えが劣った部分があるのを見つけたら、喜んで意見交換をし、彼らの術を確認し合う。年々、彼らの数学、医学、魔術(フェズが最も得意とする分野であった)はより良く洗練されていった。だが今日のドイツの学者、魔術師、カバリスト、医者、哲学者らは彼らの間により強い友愛を持ったり、あるいは彼らの秘密を自らのものに留めずにいるのを望まない。

 フェズで彼はエレメンツの住人と一般的に呼ばれている者らとの知遇を得て、多くの秘密を明らかにされた。もしも我々ドイツ人が統一を望み、我々の間での秘密を探索しようとするなら、多くのものを共に集められように。

 このフェズで兄弟 C.R.はしばしば告解をした。彼らの魔術は純粋なものではなく、彼らのカバラはその宗教を汚していたからである。だが、にもかかわらず、兄弟 C.R.はそれらを良き目的のために用いる方法を知り、自らの信仰のためにより良き根拠を見つけ、世界の調和とともに同意できる方法で用いて、全ての時代で最も驚異的な印象を与えた。そこからさらに進み、公正な調和とともに、あらゆる良き樹や果実に幾つもの殻が含まれるように、その小さな体に偉大な世界の宗教、政治、健康、仲間、自然、言語、言葉、作業を学んでいった。それらは同意され共感され、神、天、地の調和と合致した。これらが不同意するものは、間違い、過ち、悪魔から来たものである。悪魔自らは世界の争い、盲目、闇の最初、中間、最後の原因である。また、地上の全ての人物を見ていけば、良くて正しいものは常にそれ自体と同意しているが、残りは千の誤った私見が散りばめられているのに気づくだろう。

 2年後、兄弟 C.R.はフェズの町を離れて、多くの豪華なものを伴い航海してスペインへとたどり着いた。兄弟 C.R.は自らの旅を有益で良く費やしてきたので、ヨーロッパの学者らは自らの知識に大いに喜び、それらを基に自らの知識の体系を定めるだろうと期待していた。それゆえ、スペインの学者らと会談し、彼らの過ちを指摘し、どのようにそれらを正せるかも示した。これらから彼らは新時代の真の印を集められ、自ら学んできたものは過去の物事と(捨てるように)受け入れなくてははならない。また、どのように教会の過ちと倫理哲学全体を修正するかもである。そして学者らに古い哲学では受け入れられない、新しい樹、新しい果実、獣を示した。そして彼らに全ての物事は完全に回復されるであろう新しい原理を規定した。だがそれは彼らにとっては笑うべき事だった。そして彼らには新しい事なので、彼らはそれにより再び一から学ばないといけないとしたら、自らの高名を失うのではないか、また彼らの長い年月に充分に慣れて蓄積した過ちを認めるのを恐怖した。誰がそのような不安を愛そうか。自らで勝手に改革してればよい(と、彼らは言った)。同様の歌は他の国々でも兄弟 C.R.に歌われた。それらは兄弟 C.R.にはより衝撃であった。なぜなら、自らの期待に反していたからである。それゆえ、兄弟 C.R.は全ての自らの技と秘密を(選ばれた)学者らに授ける準備に入り、彼らが真理にして完全に誤りのない原理の書を受け取るようにした。それは全ての才、諸学、技芸、自然全体から出て、まるで球や円の中心から全方位に向けられるように彼らへと向けられよう。そして(アラブ人らには一般的であったが)、それは賢者と学者らの規則のためにのみ役立つだろう。また、ヨーロッパにある組織も存在する(ようにした)。この組織は充分な金、銀、宝石を持ち、それらは必要な事柄や正義のために用いるために王らに授けられよう。この組織により、為政者らに神が人に知るのを許すものを教育し、彼らには異教徒らの神託のように求める助言をいつでも与えられるであろう。

 誠に我らが認めなくてはならないのは、これらの大いなる騒動、彼らに書が運ばれるように努め、闇と野蛮を全力で乗り越えた価値ある者らに苦心してもたらし、彼らに続く後継者とするのには、当時の世界は既に充分に大きかったのである (*8)。確実に彼らは三角の炎の最上部に位置する者らであった。その炎は日々輝きを増し、疑うことなく世界に最後の光を与えるであろう。

 そのような人物の一人テオフラストス (*9)は召命を受けていた。パラケルススは我々の友愛団にはまだ入っていなかったが、Mの書を熱心に読み、そこで彼の鋭い知性は頂点へと上げられた。だがこの男は自らの道を様々な学者や一見賢者に見える者らに邪魔され、自然について彼が知り理解している事を決して他人に平和裏に打ち明ける事は出来なかった。そのため、パラケルススはこれらの忙しく働く者らをやや小馬鹿にして、人々に自らの正体を明かす事は無かった。にもかかわらず、前掲のハルモニアでその知識は良く見い出せよう。もしパラケルススが彼らの中に微妙な不愉快さを見つけてなかったら、疑うことなく、彼は学者らに知識を授けて、彼らは偉大な術と学を学んでいたであろうに。パラケルススは自由で慎重さを欠いた死に方をし、世界に愚かしい喜びを与えた。

 だが我々は愛する父、兄弟C.R.C.へと話を戻そう。兄弟 C.R.は多くの苦難に満ちた旅と実り無き真理の教授の末、心から愛するドイツに再び帰ってきた。その変更の理由は、奇妙で危うい企てについてとともに、すぐに説明されよう。ここで兄弟 C.R.は自らの術、特に金属を変容させる技を自慢する事も出来ただろう。だが、彼は無益な栄光と虚飾よりも、天と人々、その市民らをより尊重していた。

 にもかかわらず、兄弟 C.R.は良く合っていて小綺麗な住居を建てて、その中に自らの旅と哲学を思い起こし、それらを真の記念館の中に変えていった。この屋敷の中で、兄弟 C.R.は数学に長く時間を費やし、全ての学んできた術の一部から、多くの良い道具を造った。それらのうち我々に残された物は少なく、それゆえ汝は理解してもらいたい。

 5年後、兄弟 C.R.は再び変革を望んだ。だが今度は他人の同意や助けがあるか疑わしく思った。兄弟 C.R.自身は痛みに耐え、頑健で、疲れ知らずであったが、今度は自らに近い少数の者らとのみ企てる事にした。その目的のために、兄弟 C.R.はまず最初の修道院(そこに彼は大きな愛情を抱いていた)の3人の修道士仲間、兄弟 G.V.、兄弟 I.A.、兄弟 I.O.を選んだ。彼らは同時代の者らよりもこの術の知識をわずかに持つのみであった。兄弟 C.R.は3人に自らに忠実で、勤勉で、秘密を守るよう誓わせた。また、最終目的のために彼らに教育し命令するのに慎重に書くようにした。また特別な啓示はこの友愛団を通じて与えられ、わずかな言葉や文にも欺きが無いようにした。

 この方法により、薔薇十字の友愛団は始まった――最初の団員は、4人のみだった。そして彼らにより、魔術の言語と筆記法が考案された。また分厚い辞書も作られ、我々は神の栄光と賛美のためと、その中にある大いなる知恵のために日々用いた。彼らはまたMの書の最初の部分も作った。だがこの労働はとても厳しく、言語に絶するほとの数の病人の集まってきたので、作業を防いだ (*10)。一方では、兄弟 C.R.の新しい建物(Sancti Spiritus 聖霊の館と呼ばれた)が完成し、この友愛団に他のメンバーも集まってきた。最終的には、兄弟 C.R.の亡父の兄弟の息子である兄弟 R.C、有能な画家 兄弟 B.、その秘書 G.G.とP.D.が加わった。I.A.以外の全員がドイツ人だった。団の総数は8人となり、その全員が独身であり生涯童貞を維持すると誓った。彼らにより、人が望むだろう書は集められた。

 我々は今や自由に打ち明けられるが、世界はそれから百年経って大きく変わったが、我々の原理は世界の終わりまで不動に残り続けると確信している。また世界の終わり、その至高にして最後の時代には我々以外の何物も見ないであろう。我々の薔薇は神が「かくあれかし」と述べた日から始まり、神が「全ては終わった」と述べるまで続こう。神の時計は毎分叩いているが、我々の乏しいものは毎時間正確に叩く。我々はまた固く信じるのは、我々の兄弟や父らが現在まで生きていたら、彼らは教皇、イスラーム教徒、写字生、芸術家、詭弁家らに対してより荒っぽく扱っていただろう (*11)。そして彼らはより助けとなるよう示し、ただ溜息をついてこれらの終わりが来るのを望む事はあるまい。

 これらの8人の団員は解散し、命令を受けた。もはや大いなる労働は必要でなく、誰もが充分に教授され、秘密にして明白な哲学を語る事が完全に行えるゆえ、彼らはもはや集まっている必要は無く、それぞれが独自に様々な国で行動すると初めの時のようにお互いに同意した。なぜなら、それにより彼らの原理が秘密裏に学者らにより深く調べられるのみならず、彼らの一人がある国で何かを見たり、何らかの誤りを見つけたら、他の者らにも伝えられるからだ。

 彼らの同意事項は以下である――

 第1に、誰もが無料で病者を癒す時以外は自らの正体を明らかにしない。
 第2に、以後の世代の誰もが特定の習慣に自らを制約せず、現地の習慣に従う。
 第3に、毎年、Cの日に、聖霊の館に集まるか欠席の原因の手紙を送る。
 第4に、どの兄弟も自らの死後に後継者とする価値ある人物を探しておく。
 第5に、R.C.の言葉は我らの印、署名、印章であるべきである。
 第6に、友愛団は残りの百年間は秘密のままにする。

 これらの6つの条項を、お互いに維持するよう誓いあった。団員のうちの5人が出発した。唯一、兄弟B.とD.が父なる兄弟 C.R.と1年間共にいた。(翌年に)彼らが同様に出発したら、今度は彼の従弟と兄弟I.O.が残った。このように、兄弟 C.R.は残りの生涯で2人の団員と共に暮らした。まだ教会は浄化されていなかったが、彼らは教会についても考えていて、長い間望む事があるのも我々は知っている。毎年、彼らは喜びとともに会合し、来年に何をするかを話し合った。作り話ではなく、神が世界のあちこちでなす奇跡について聞く大いなる喜びがそこにはあった。神と天により集められ、長く生きる最高の賢者らから選ばれ、共に他の者と最高の統一と、大いなる秘密、最も親愛な関係とともに過ごしたのだから、誰もがそのような体験を持っていたのである。

 そのような最も称賛に値する行いをしつつ彼らはその生涯を過ごした。彼らは全ての病や痛みからは自由であったが、神が定めた寿命を超える事は出来なかった。最初に亡くなった者、それはイングランドでの出来事であったが、兄弟 C.がかなり前に彼に予言したとおりに、それは兄弟I.O.だった。Hと呼ばれる彼の書が明らかにしている通りに、兄弟I.O.はカバラについて非常に優秀で良く学んでいた。イングランドでは兄弟I.O.はよく語られていたが、その主な理由は、若いノーフォーク伯のハンセン病を癒したからである。葬儀の際に団員たちは、それにより今日まで世界の人々が彼らの正体に気づかないようにするために、死んだ兄弟の墓は可能な限り隠されるようにする様に結論した。そして誰もが自らの立場の後継者を用意していた。だが本書により、我々は神の誉れのために公的に我らの存在を明かすのである。我々がMの書より学んだ秘密の数々により、我々は目の前に世界の全ての出来事を幻視する事が出来たが、我々の不幸や死ぬ時期については示されなかった。それは神のみぞ知るのであり、そのため我らは常に用意をし続けるのである。だが、我らの告白をさらに続けると、我々は37の理由から、今、我々の友愛団を世に知らしめ、そのような高位の神秘を制約も報酬も無いまま自由に明かすのである。また、我々はスペイン王が両方のインド (*12)から得るよりも多くの金を与えるのを約束する。それによりヨーロッパには子供たちが、偉大な神父の贈物が必要な強き子供たちが産まれるだろう。

 兄弟 I.O.の死後、兄弟 C.R.はまだ休んでなかったが、彼が出来るようになればすぐに残りの者らを全て集めて、我々が予測していた事であるが、その墓が作られた。もっとも、我々(後継者の末端である)はいつ我々の愛する父 C.R.が亡くなったのかは知らず、始まりのメンバーについても名前の他は知らず、誰が後継者となったかも知らない。だが、我々の記憶に数百年の闇と隠された言葉を通じての秘密が伝えられている。兄弟 D.の後継者である兄弟 A.(彼らは最後とその2番目の世代の後継者らであり、我々と共に生きていた)が我々の末端から3世代目の後継者らを伝えていた。だが、先に述べたA.の死後、我々の誰も兄弟 C.R.と彼の第1世代の団員らについて知らなくなったと白状しなくてはならない。彼らについては我々の哲学的な蔵書の中で幾つかが記されている。それらの中で、我々の「原理の書」は最上のもので、「世界の薔薇」は最も技巧的で、「プロテウス」は最も利益になる書である。同様に、我々は第2世代も知恵が第1世代のようにあったのか、全ての事柄を受け入れたかどうかも知らない。

 ここで我々は親愛なる読者に対して宣言する。我々がこれまで聞いた兄弟 C.R.の墓についてのみならず、我らが信仰深く従う神の予知により、許容により、命令により、公的に宣言したい。我々が慎重かつキリスト教徒的に答えるならば、我々の名前、姓、我々の会合、あるいは必要な何事をも公的に明らかにしても恥じる事は無いであろう。

 次に、神の最も啓明された人、兄弟 C.R.Cの発見について真実にして本質的な関係について述べよう――ガリア ナルボネンシス (*13)の兄弟 A.が亡くなった後、その地位を我々の愛する兄弟 N.N.が継承し、忠誠と秘密への厳粛な誓いをしてから、我々に誠実に伝えた。すなわち兄弟 A.が彼に慰め語った所によると、この友愛団が隠れたままでいるのはそう長くなく、全てのドイツ諸邦の助けとなり必要となり誉れとなるべきで、それにより彼の階級は恥じることは無いだろうと。翌年、彼がその学院を正しくしてから、旅に出ようと考えた。その目的のための充分な路銀を得た。彼は(良き建築家だったので)その建物をより適しているように改築する事を考えた。その際に彼は記念の表を見つけた。表は真鍮製で全ての兄弟たちの名前と幾つかの別のものも刻まれていた。この板を、より明るい地下室へ移して、良く調べようと彼は考えた。兄弟 C.R.がいつどこで死んだのか、どこに彼は埋められたのかは、我々の前任者らが隠していて、我々には未知であり、この板がその謎を解く鍵となるかもしれないからである。この机には巨大な釘が刺さっていて、彼がなんとか取り除くと、厚い壁、あるいは漆喰の隠し扉から平坦で巨大な石が飛び出て、明らかにされた扉を開いた。そこで我々は喜びとともに残った壁石を取り除いて扉をはっきりと露にした。そこには大きな文字で以下のように書かれていた――

 Post CXX Annos Patebo(百二十年後に明かされよう(あるいは開かれよう))

 主の年がその下に書いてあった。我々は神に感謝を捧げ、その夜は休んだ。なぜなら、最初に我々は我々の薔薇を見過ごしたからだ。――だが、我々は再び告白で我々自身を述べるとしよう。我々がここで出版したものにより、価値ある者らには助けとなろう。だが、価値無き者らには、神が意志するに、小さな利益しかあるまい。我々の扉が長い間隠されていたようにである。だが驚異的に発見された。同様にヨーロッパへも(壁が取り払われたら)扉は開かれるであろう。それは既に始まっており、多くの者らが期待するならば、それらは現実となろう。

 朝になってから、我々は開いた扉の先に進んだ。そこで七つの面と角のある地下室を見つけた。各面は5フィート(1.5メートル)の幅があり、8フィート(2.4メートル)の高さがあった。太陽はこの地下室へは決して届かなかったが、にもかかわらず、別の太陽によって照らされていた。それは太陽から学んだものであり、壁板の中央の上部に位置していた。中央には、墓の代わりに――石の円形の祭壇があり、その下には真鍮の板で覆われて、そこに以下のように彫られていた――

 A.C.R.C. Hoc universi compendium unius mihi sepulchram feci(A.C.R.C. 我はこの地下室を宇宙の一つの要約として造った)

 その周囲を第一の円あるいは縁があり、そこに文字が刻まれていた。

 Jesus mihi omina (イエスは我が全てである)

 中央の円の内側には4人の像があり、それらの外側には、

 1. Nequaquam Vacuum(無には帰さない)
 2. Legis Jugum (法の軛)
 3. Libertas Evangelii (福音の自由)
 4. Dei Gloria Intacta (神の栄光は犯される事はない)

 これは全てが明るく輝いており、七つの面も2つの七角形もである。我々は共に跪いて、唯一の賢く力あり永遠の神に感謝した。神は我らに全ての人間の知恵を合わせたよりも多くを教える。そして主の聖なる御名を称えた。この地下室は3つの部分に分けられていた。上位の部分あるいは壁板、壁あるいは面、地面あるいは床である。その中の上位の部分に、汝は理解しなければならないのは、七つの面に従って三角形で分割され、それは輝く中央にあった。その中にあるものは(我々の社会が欲しがるものであるが)神の意志により、汝自身の目で見るが良い。あらゆる面あるいは壁は、10の正方形により分割され、それぞれには様々な絵や文章が書かれていたが、それらは我々の書において真に示されていたものである。床も三角形によって分割されていて、そこには地獄の支配者らの力と規定が記されていた。我々は悪しき神無き世界により悪用されるのを恐れるので、それらは書かない事にする。天の解毒剤が与えられ蓄積している者らには恐れも被害も無く、古き悪しき蛇の頭を踏み潰せよう。それは我々の時代には向いていよう。全ての面あるいは壁には扉があり、その先には宝箱があった。そこには、神的なものが横たわっていた。特に我々の全ての書があり、加えてホーヘンヘイムのテオフラストス パラケルススの用語辞典があった。それは我々が日々偽りなく使うものもである。ここにはまた、パラケルススの地図とウィータ(命)の書も我々は見つけた。この関係は、それらからほとんどの部分は取られている。別の宝箱には、神的な性質のある鏡もあり、別の場所には小さなベル、燃えるランプ、大部分が驚異的な人工的な歌―― 全てはかの目的のために行われた事である。たとえ何百年も経った後に友愛団が無と帰していたとしても、後の時代の者らはこの地下室のみにより再び復興しただろう。

 我々の慎重で賢い父の遺体をまだ見つけられずにいた。我々はそれゆえ祭壇を横へとずらした。そして我々は真鍮の大きな板を持ち上げて、そこに清潔で価値ある遺体を見つけた。全体は傷んでおらず、まるで生き生きとした蝋人形のようであった。遺体は全ての装飾品とともに盛装されていた。そして、その手にはTと呼ばれる羊皮紙が握られていた。これは聖書の次の我々の宝であり、世界へ公開するわけにはいかない。この書の終わりで、以下の墓碑があった。

 Granum pectori Jesu insitum (イエスは人の心の中に種を蒔く)

 C.R.Cはドイツの貴族R.C.家より生まれ、良く成長し、生涯にわたって神の啓示に忠実であった。最良の想像力を持ち、天と人の神秘のために休むことなく働いた。後に(アラビア半島からアフリカの旅で得た)正当な奥義により宮廷と帝国の宝物庫を満たしたが、まだ対話はなされなかった。その後、彼と彼の術は隠されたが、自らの名と信念の後継者らを集め組織を設立した。最初は全てが清らかな少数の者らから、やがては応じてきた多数の者が集まった。やがて百歳で彼は世から去るが、悲しむ事は無い(彼の死体は決して現れず、他者に決して荒らされないだろう)。誰にせよ神の霊へと進む者はその魂は啓明されるのだ。(その間、友愛団は取り囲み、最後の接吻をした)。創造主である神に最も信仰深き父、偉大な兄弟、最も忠実な総長、深い愛のある人はこうして亡くなった。彼は百二十年間、隠されたままにあるだろう。

 その下には、彼ら自らの著名があった。

 1. 兄弟 I.A. 兄弟 C.H. 友愛団の選ばれた頭
 2. 兄弟 G.V.M.P.C.
 3. 兄弟 F.R.C. 聖霊の若い後継者
 4. 兄弟 F.B.M.P.A. 画家にして建築家
 5. 兄弟 G.G.M.P.I. カバリスト

 第2の集団

 1. 兄弟 P.A. 兄弟 I.O.の後継者。数学者
 2. 兄弟 A. 兄弟 P.D.の後継者
 3. 兄弟 R. 父なるC.R.C.の後継者。キリストの勝利とともに

 終わりには、以下のように書かれていた。

 Ex Deo nascimur, in Jesu morimur, per Spiritum Sanctum reviviscimus.(神より生まれ、イエスとともに死に、聖霊により蘇る)

 この時すでに兄弟 I.Oと兄弟 D.は死んでいたが、彼らの墓はどこに見つけられるだろうか? 我々は前任者の兄弟と同様に、おそらく隠されている地下の特別な場所に横たわっているのを疑わない。我々はまた、この我々の例により、より優れた学者らが興味を持ち、彼らの名前を調べたり(それゆえ、我々は本書を出版したのである)、彼らの墓所を探すのを希望する。彼らの多くが、実践と医術から非常に古き民らから知られ称賛されていた。そのため、おそらく我々の宝物は広げられ、あるいは少なくともより良く掃除されていよう。

 小宇宙 (*14)については、我々は別の小さな祭壇で見つけた。誰の想像力をも超えた真に優れたものであった。だが我々は彼を記さないままにしておこう。この我々の真に心からの「名声」に真に答えられる時までである。そのため、我々は再び墓を板で覆って、その上に祭壇を置き直した。そして扉を閉めて、我々の全ての印で封印した。さらに、我々の薔薇の教授と命令により、ある書らが見つけられた。それらの中には、Mの書(称えられるべき M.P.により保たれるのではなく、作られていた)もあった。最後に我々は家を離れて、我々の至宝を自然な後継者が保有するに任せた。そして我々は学者らと学ばない者らの返答と審判を期待するのである。

 我々は後になってから、神的な事も人間の事柄においても、我々の他者への望みと期待に応じた、普遍的な改革が起きるのを知っている。例えるならば、太陽が昇る前に、世界にはオーロラの光、透明な神の光が空に瞬くであろう。同様に、その間にはごく少数の者、これらの名前を与えられるべき者らが共に集うだろう。やがては我々の友愛団の数と敬意が増大して、兄弟 C.R.が我々に与えた哲学的な規範を始めるのを喜んで望むであろう。そして我々の宝(それらは決して失敗したり無駄にはならない)を全ての人類と愛のために、この世界から労働を無くし、神の驚異的な働きの知識を盲目のまま歩く事の無いように、共に用いるであろう。

 あらゆるキリスト教徒は我々が信じる宗教とは何かを知っていよう。我々はイエス キリストの知識(今も世の終わりにおいてもである。主にドイツにおいて、最も清澄で純粋なものが保たれよう。そして今が全ての道にそれた者達、異端者、偽預言者らを清め滅ぼす時である)を持つと告白する。特定の国々で、それらは維持され防衛され繁栄しよう。また我々は2つの聖礼典を持ち、それらは最初にして刷新した教会の全ての儀礼と祭式より教えられたものである。政治においては、我々はキリスト教徒の頭として(神聖)ローマ帝国と四頭政治を認める。我々に他の選択肢があるのも知っており、それは我々の心からの良き影響を他の神について学んだ賢者らに与えられるだろうが、にもかかわらず、我々の手記は我が手にあり、誰一人として(神のみを例外として)これを一般には出来ないし、どのような価値無き者らも我々からこれを奪う事は出来ない。だがこれは非常に良いものであるので我々は秘密裏に助けよう。神はそれを許したり、させなかったりするだろう。我々の神は異教徒の幸運の女神とは違って盲目では無いからである。だがこれは、教会の装身具にして神殿の誉れである。我々の哲学もまた、新しい発明品ではない。それはアダムがその追放の後に受け取り、モーセとソロモン王が用いたもので、他の意見や方法のような矛盾したり疑わせたりはしないものである。そしてこの真理を求めるのは、特に全能の父とイエスと全ての使徒らに従うならば、平和的であり、簡潔で、常にすべてにおいて真理に似た者となる。イエスは父の真の似姿ゆえに、真理もまたその似姿だからである。これは哲学においても真実であり、神学や、またプラトン、アリストテレス、ピュタゴラス、他の著名な哲学者らも真理である。エノク、アブラハム、モーセ、ソロモン王も素晴らしい。だが特に、聖書が同意する驚異的な書がそうである。これら全てを同時に共にし、中央からの距離はすべて同等の球のようにする。これらは大いに、さらに簡潔に、キリスト教の会議において(すなわち命の書において)語られるであろう。

 次に、おもに我々の時代についてである。神への信仰なく金作りに上流階級らは奔走し、一方では庶民層は多くの背教者や強盗らが悪しき行為をなし、貨幣を騙し取ったり与えられたものを悪用する。そして思慮分別ある者は金属を変容させる技を至高の点、哲学の頂点のために用いる。これは全て彼らの意図と望みであり、神は彼らには最も重んじられ称えられる。神は大いなる金を集められ、神へのとっさの祈りにより、彼らは神の認識を得る期待を持ち、心から探すのである。今日の状況より我々は公的な告白する。真の哲学者らは金をわずかしか作れない別の考えからは遠い。それは模範であり、それ以外にも彼らは千の良きものを持っている。我々は我らが愛する父 C.R.C.とともに言おう。この哲学により多くの金を得られる (*15)。兄弟R.C.は自然全体を知るからである。もっとも兄弟R.C.は金を作れる事を喜びとはしない。キリストが言ったように、悪魔は金に従うからである。だが兄弟R.C.はむしろ、天が開き、神の天使らが上昇し下降するのを見、その名が命の書に記されるのを喜ぶであろう。

 また我々は証言すると、化学の名において、多くの書と絵が神の栄光の悪用とともに世に出ている。ゆえに我々はこれらを季節ごとに明かそう。そして純粋な心の者らにこれらのカタログや登記簿を与えよう。我々は全ての賢者らがこれらの書について用心するよう祈る。敵 (*16)は決して休むことなく、強きものがこれらを根絶するまで、その悪しき種を蒔くからである。

 ゆえに、兄弟 C.R.C.の意志と目的に従い、我々、彼の団員は本書を読んだ(5つの言語で送る)ヨーロッパの全ての知識人らに求める。この我々の名声と宣言について、良き思案をしていただきたい。これらの術を厳密に調査し、現在という時代を念入りに見よ。そしてこれらの精神を宣言するに、communicato consilioやsingulatimが出版されよう。現時点においては、我々は自らの名前や会合場所を明かしはしないが、にもかかわらず、どの人物の意見も確実に我々の下に届くだろう。どの言語を用いようとも、誰にせよ失敗する事は無い。我々の内の一人と話すために彼の名前を出そうとも、口に出しての言葉でにせよ、何かに書いたものにせよである。そして我々は真に語るが、誰にせよ心に抱いたものは、我々に影響する。彼が良き思い、体、魂を持つなら利益となろう。だが、偽りの心やただ豊かになりたい貪欲さを持つ者らは、まず第一にどのような方法にせよ我々を傷つける事は出来ず、自らを完全な破滅と破壊へともたらすだろう。また我々の建物は、何十万という人々がすぐそばまで見ているものの、触れられる事無く、破壊される事なく、この邪悪な世界からは隠されたままであろう。

 Sub umbra alarum tuarum, Jehova.(御身イェホヴァの神の保護の下で)


 

  • 最終更新:2021-04-29 19:11:31

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