飛翔する巻物 2

 
飛翔する巻物 第2巻

第1部 黙想の主題について
 
G.H. 兄弟 N.O.M.(ウィリアム ウィン ウェストコット博士)著

 
 あなたが魔力を望むならば、意志を強める前に、肉体、精神、知性、感情の浄化をしておく必要がある。

 あなたが動物魂(animal soul)を飢えさせる場合にのみ、霊力は豊かに育つであろう。そして動物魂は主に動物体の状態と扱いに拠っている。人の動物性は配慮し、守り、その健康と力を保たなくてはならないが、甘やかしてはならない。

 だが、人間に関する全ての事柄で中庸であるようにせよ。極端に禁欲である習慣は、ここでのあなたには、別の種類の危険の源であり、あなた自身の禁欲者としてのヒロイズムの考えにしか導かないだろう。真の禁欲とは、規律に従い、御しがたい感情、思考、行動を手なずける事である。自らの動物魂の奴隷である者は、人のいない森の中で悪徳を行うであろう。一方で、町の群衆の中でも自らを保て、忙しい生活を送れる人は、汚れることなく、より抵抗を示し、より厳しい規律に耐えられ、より大きな報酬を得るであろう。

第2部 黙想の主題についての注釈
 
V.H. 兄弟 Levavi Oculus(P.W.ブロック)著


 霊力とは、粗雑な動物性の変容の結果である。人体内のセンセーションの様々なセンターは、引き寄せと排斥――別の言い方をすると、過剰な乗り物――の対立するフォースの均衡あるいは循環によって調和を得るだろう。

 「我らの神はその一致において最上である」が事実ならば、その類似は大宇宙と小宇宙の間にも当てはまるであろう。ダントン地方の霊視家の1人は、地の中心に黄金の泉があると記した事があり、我々は「visita interiora terrae, etc」の命令を得ている (*1)。通常の船の中心にすら、その第一動者(均衡の点)が置かれている。そして、均衡の力と座の場所は数の中にあり、5の数は以下にあるように、その中心である。

 1234 5 6789

 これは「金のある場所」ゲブラーのセフィラーのことで、5の線の形は最上の単独の点をたどり、存在する最も強力、継続的なシンボルである。この小宇宙のサインは、錬金術師の炉としても象徴されており、誰もが知ることなく持っている。そしてエリファス レヴィは、それによって「強く決定的な意志は、絶対的な独立に速やかに到達するであろう」と述べている。それゆえ、意志の操作がそもそも可能となる前に、均衡のコンディションは必要である。そして意志は、我々の低位の望みより高位の望みへと上昇すること以上のものであり、ある種の電力のような、望みを実行する力である。これらの知識によって、意志とは創造的な力であり、理想の形あるいは存在するタイプに従って形作るものであると知る。それゆえ、この意志の働きを通じて、宇宙にせよ人にせよ、隠されたものが明らかとなる。学徒は自らの中にある、これらのフォースを目覚めさせることを学ばなくてはならない。この無頓着の状態への熟達は、バガヴァッド ギーターとインド ヨーガの主要なテーマであり、事実、東洋と西洋の両方で、2つの極端の間の均衡を保つ教えは一致しており、これは不死の法である。

第3部 意志力についての3つの勧め
 
Florence_Farr.jpg

姉妹 S.S.D.D.(フローレンス ファー)著

 
 第1の勧め。意志力の性質を学ぶ際に、我々は自らの「Minutum Mundi」の体系 (*2)の助けを得ている。火星、ゲブラー、火、白羊宮は、違った界での意志力の表現であり、それら全ては赤色をしている。赤い獅子は錬金術師らによって、達人の至高の力を表現するシンボルとして用いられてきた。錬金術で純粋を表す白を得たら、熱は激しく上昇し、やがては完全な力を表す赤が自らを発現させるであろう。

 第2の勧め。そして我々の作業で、無知と闇から自らを浄化する前に、この意志力の実践を試みようとする時に危険が起きる。我々がこの働きを知るまでは、それを行うことは避けるべきである。これは全く希望無き状態のように聞こえるかもしれないが、我々は自らの中にその実験のための全てのマテリアルを持っており、我々の望みが正しいものであって、それを得るために我々の知る全てを行うならば、永遠の苦しみへと陥る可能性は低いであろう。だが同時に、我々が今持っている、このとても特殊な魔術知識を他人に、特に参入されていない者に当てはめることについては、慎重であり過ぎることはない。最初のステップが最も困難ではあり、これは他人の自然な傾向を変えるために、その意志に及ぶコントロールを得るのは極端に困難であることを意味するが、私が見つけた危険は、むしろその後にある。ひとたびそれが行われたら、あなたが動かしたフォースはほとんどコントロール不能となり、影響を与えた他人が、時にはあなたの目的のためにのみ生きるように思えることもあり、この状態は実行する前の状態よりも悪くなっている。これは信仰療法家、あるいはプロの催眠術師によって治癒された人の場合に、特に目立っている。

 第3の勧め。これらの危険について説明したので、次には意志の開発で私が勧める方法を述べよう。それはあなたの頭が、巨大な球へと放射状に送られる光線のように、様々な思考を引き寄せる中心であるとイメージすることである。何かを望むことは、意志の実践の最初のステップであり、それからあなたが望むことの明白なイメージを、いわば心臓に置き、あなたの彷徨う思考の光線の全てを、このイメージへと集中させ、やがてはこのイメージが凝縮したフォースの赤い球に育ったと感じたならば、この集中したフォースを、あなたが影響を与えたいと望む対象へ向かって投射するようにせよ。


 

  • 最終更新:2023-03-20 12:30:34

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード